渋谷区議会 石原都知事に白紙撤回求める意見書
 
原宿大規模留置場計画に対し臨時区議会

 11月9日、渋谷区議会は東京都が原宿の社会事業大学跡地に600人収容可能な大規模留置場を建設すると表明した問題で臨時議会を開き計画の白紙撤回を求める意見書を全会一致で議決しました。意見書の議決のためだけに臨時議会が開かれることは極めて異例なことです。意見書は、石原知事が渋谷区・地元住民との約束を一方的に破り大規模留置場計画を正式に発表し、「反対は地域エゴ」と発言したことに対し到底容認できないという内容です。

〔副議長、各派幹事長と共に記者会見にのぞむ〕

 伊藤議長と区議会の代表者は臨時会後、直ちに都庁へ出向き記者会見にのぞみました。会見の中で伊藤議長は「石原知事は反対運動を『地域エゴ』と発言したが、問題は重大な約束違反をおかし、一言の相談もなく計画を表明した石原知事の非民主的な政治手法。留置場の必要性を否定するものでは無い。」と不快感をあらわにしました。その後、都の財務局長に意見書を手渡し、説明責任の欠如を非難するとともに都議会議長をはじめ、各会派の代表者に面会し協力を要請しました。

 しかし、いまだに石原知事は「決して妥協しない」「コンクリートな計画が出来た段階で地元とは話す」などと述べ、強気の姿勢を崩していません。今後とも渋谷区議会は、小倉区長、渋谷区民と力を合わせ計画の白紙撤回に向け最大限の努力をしていきます。

〔都財務局長に意見書を手渡し、厳重に抗議〕

〔意見書提出後、記者団に囲まれる〕

 

日本社会事業大学跡地利用に関する意見書

 

 十月十日付け、日本経済新聞の朝刊に「原宿駅近くに大規模留置場」との見出しで、神宮前一丁目四番一号の日本社会事業大学跡地に、東京都が約六百人収容できる留置場と射撃場とを設置する旨の報道があり、引き続き十一月二日の定例記者会見の場で、『原宿大規模留置場』建設構想が石原慎太郎知事から正式に表明されました。
 東京都の突然の建設計画に区民・区・議会は、大きな驚きと強い怒りを覚えました。

 日本社会事業大学跡地利用に関しては、渋谷区が国から取得するべく協議をする中、平成八年、都が阪神・淡路大震災を教訓として、都市災害救助隊、原宿警察署等を建設するとの跡地取得後の利用計画が示され、渋谷区が跡地取得を断念した経緯があります。その際、利用計画策定にあたっては、渋谷区・地元住民から出された事前協議、環境への配慮等六項目の要望に誠意を持って対応する旨、都から回答されております。それにもかかわらず、渋谷区・地元住民に事前の協議もないまま、都知事が『大規模留置場』構想を正式に表明し、「反対は地域エゴ」と発言されたことは誠に遺憾であり、永年にわたり培ってきた渋谷区と東京都の信頼関係をも踏みにじるようなこの構想については、到底容認できるものではありません。

 よって、渋谷区議会は、東京都に対し、日本社会事業大学跡地利用計画の策定に関し、  『大規模留置場』建設構想を白紙撤回するとともに、渋谷区との約束を遵守されるよう強く要請するところであります。
 以上、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出いたします。

  平成十三年十一月九日

                         渋谷区議会議長 伊 藤 毅 志

東京都知事 石 原 慎太郎 殿