9月9日、渋谷区議会全員協議会の場で行政側から旧渋谷小学校跡地複合施設(渋谷区渋谷1-18-21)の基本計画案が示されました。同案は旧校舎の位置に地上9階、地下1階、建築面積1860平米の複合施設を平成17年9月までに建設しようというものです。計画施設はショートステイ24床を含む160床の特別養護老人ホーム(4F〜9F)を中心に、コミュニティホール・施設(2F)、保育園(1F)、情報管理・職員研修施設(B1F)、ブリティッシュスクール・けやき教室(3F)などを配置するものです。
計画建物の配置図
南側から見た計画地、奥には建設中の青山パークタワー(34階)がそびえ立つ
一方、全く偶然ながら当該施設の地元では学校統合時の経緯をふまえ、また、隣地に建設中の2棟の超高層マンションを見据え「小学校の復活と、旧校地の有効利用」を目的に町会・旧学校施設開放委員会・旧PTA・同窓会関係者からなる「美竹まちづくり研究会」が結成されていました。 美竹まちづくり研究会では、数多くの区外施設の視察や会議を経て、独自に渋谷区立国際小学校、区民住宅、オフィス、特別養護老人ホーム、保育園、レストラン等を配置し、PFI方式を導入した「ミタケコミュニティヒルズ構想」を練り上げ、渋谷区に提案しましたが、既にその時点で渋谷区側の構想が固まりつつありました。まちづくり研究会としては区側の説明、すなわち (1)残される旧校地に約2万平米(27〜28階)の建物ができる余地を残す (2)引き続き渋谷区国際小学校の検討を続けるという約束と、特別養護老人ホーム等は区政の緊急行政課題であると考えた上、この案に理解を示した経緯があります。
校庭から見た旧校舎、及びアインス(左・18階)、パークタワー(右・34階)
地元が提案したミタケコミュニティヒルズ(案)
9月12日には、初めての地元説明会が開かれました。当日は100名近い住民が集まり、活発な質疑が行われました。渋谷小学校を知る旧住民からは「隣には高い建物が建つのに、9階では区有財産の損失ではないか?」「もっと細く高くして公開空地を作るという案はなかったのか?」との質問が出されました。 また、新たに渋谷アインスに引っ越してきた人、青山パークタワーに移住予定の新住民からは逆に「9階でも高いので、もっと低くして欲しい」「渋谷消防署仮庁舎を移転し、施設を南側へ移すべきだ」等の意見が出されました。 新旧住民の基本計画(案)に対する意識が全く違う中、行政側が住民の理解を得ることは大変かもしれません。しかし、渋谷区は美竹まちづくり研究会に約束した、区民財産の有効利用を目指し残地の高度利用の可能性を明言しながら新旧住民へ説明責任を果たし、合意を得られるよう最大限に努力することを心より望みます。